相続人の立場からは自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらがよいですか。
(3)公正証書遺言がある相続
公正証書遺言がある場合、遺産の分配は自筆証書遺言と同様にその遺言の内容に従うので、遺産分割の協議は不要です。その上、検認も必要ありません。ただちに相続に取り掛かることができます。
相続人全員が協力的であったとしても、(1)遺言がない場合の相続や、(2)自筆証書遺言がある場合の相続は、相続人の数が多ければ多いほど、それに比例して手間も増えます。つまり、時間や労力がそれだけかかります。
具体的にいえば、(1)の話し合いは、一般的に終末や仕事をした後などの時間にすることになるかと思いますが、1度や2度の話し合いではなかなか終りません。話し合いが済んだ後も、その内容を書類(=遺産分割協議書)にまとめる作業があります。
(2)は、検認を必要とします。検認は相続人全員でなくても、そのうちの誰か1人がおこなえばよいものですが、家庭裁判所は平日の昼間しか営業していませんから、ごく普通のサラリーマンであれば検認のために申立ての日と立会いの日で計2回は仕事を休まなければなりませんし、そもそも申立てのために相続人全員の戸籍を集めるのも大変です。
まして、(1)も(2)も、相続人が非協力的であれば、その大変さは説明するまでもありません。
以上のことから、相続人にとっては公正証書遺言のほうがよいといえます。ただし、冒頭で補足したように、現在では自筆証書遺言でも新しい手続きを加えることで、公正証書遺言に近い効力を持たせることができるようになりました。
なお、その新しい手続きは、遺言を書いた本人がおこなう必要があります。