NPO法人は無償で活動しなければなりませんか。
いいえ、無償でなければならない義務はありません。無償でも有償でもどちらでも自由です。
NPO法人がおこなうNPO活動とは、地域や社会に貢献するような目的がなければなりませんが、必ずしも無償である必要はなく、活動の対価を求めてもよいのです。
いうまでもなくNPO法人を維持し運営していくには活動資金が必要です。それを得る手段としては、大きく分けて3通り考えられます。
1つめは、有償のNPO活動をおこなう方法、2つめは、NPO活動とは別に有償の事業をおこない、そこから収入を得る方法、3つめは、寄付を受ける方法です。どれか1つの方法のみで資金を得て運営しても構いませんし、3つを組み合わせても構いません。
別の事業の注意点
別の事業をおこなう場合の注意点としては、これはあくまでも副業的なものに限って許されているという点です。
NPO法人とはあくまでもNPO活動をするための法人ですから、NPO活動をおこなうことが主目的となります。
それなのに、NPO活動は一切おこなわず別の事業だけをおこなっているとか、NPO活動はそこそこにして別の事業に全力を注いでいるとか、そんなことではNPO法人の認可が取り消されてしまいます。
したがいまして、本業であるNPO活動に支障を来すような別の事業は禁止されます。また、副業である別の事業から得た利益は、そのすべてを本業であるNPO活動のために使用しなければなりません。(特定非営利活動促進法5条1項)
事業の例
例えば、映画に関する文化的事業によって地域社会に貢献するNPO法人を設立したとします。
このNPO法人のおこなうNPO活動としては、地域住民を対象にさまざまな映画を上映する事業を計画しています。この場合、地域住民に映画鑑賞のチケットを有償で販売しても、無償で配布しても、どちらでも構いません。
しかし、チケットを無償で配布するならその活動のための別の収入が必要となりますし、有償でも採算が合わなければ同じことです。
そこで、映画とは関係のない、例えば焼きそば・たこ焼き・サンドウィッチなど軽食を販売する事業もおこなうことにします。これは映画の観客に向けて販売しても構いませんし、無関係の場所で販売しても構いません。まったく自由です。
ただし、いくら軽食販売が好評だからといって、映画を上映する事業に支障が出るほどNPO法人の資源(人手・資金など)を投入してはダメですよ、ということです。
また、いくら売り上げがよかったからといって、その利益をNPO法人の役員や社員が受け取るのもダメです。販売を担当する従業員を雇って、その人たちに給料やボーナスを支給するのは構いません。(この「社員」とは会社員・従業員の意味ではありません。)
NPO法人は、NPO活動については有償とすることも無償とすることもできます。複数のNPO活動をおこない、それぞれについて有償・無償を決めるのも自由です。
したがって、映画の上映の事業というNPO活動をおこない、そのチケットを有償で販売しつつ、映画監督や出演俳優を呼び講演してもらう事業というNPO活動もおこない、その講演を入場無料とすることもできます。
別の事業については有償とすることしかできません。NPO活動のための資金を得ることが目的である必要があるからです。
活動の種別 | 対価を要求 | 収入 |
---|---|---|
NPO活動 | しない | なし |
する | あり | |
別の事業 | する | あり |
(寄付) | - | あり |
特定非営利活動促進法5条1項(その他の事業)第五条 特定非営利活動法人は、その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、当該特定非営利活動に係る事業以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができる。この場合において、利益を生じたときは、これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない。