下田行政書士事務所

合同会社と株式会社との違いは何ですか。

(4)企業のイメージ

この違いの点は、説明するまでもないかもしれません。

一般的に、人は会社の法的な種類や性質について特に興味も関心も持っていません。そのような消費者・取引相手でも合同会社と聞いたときと株式会社と聞いたときとでは、その頭に思い浮かぶイメージは明確に異なるでしょう。

というよりも、そもそも合同会社と聞いて何か具体的にイメージできる人は、ほぼいないのではないでしょうか。

例えば、今や世界的大企業の中でも株価総額のトップを争うアップルアマゾンの日本法人が合同会社であると知っている人は、あまり一般的な人とはいえません。

つまり、合同会社の知名度は低いのです。あなたがこのページにたどりついた理由も、おそらくは合同会社がよくわからなかったからに違いありません。同様に、あなたの会社が想定する顧客も同じことを思う可能性があります。

一方、株式会社についてはどうでしょう。おそらく多くの一般人は「会社」といえばまず最初に株式会社が頭に浮かびます。加えて、マスメディアに広告を打つような、いわゆる大企業と呼ばれる会社はほとんど株式会社です。

実際には、個々の株式会社でその実態はそれぞれ異なるわけですが、そういうこととは無関係に株式会社という看板は強いイメージをもたらします。

このイメージは、営業活動のとき、それも新規顧客を開拓する場面で特に現われます。

個人事業主がその事業を会社化することを、将棋の駒成りにになぞらえて、俗にほうじんといいます。個人から会社法人に成る、というわけです。

そして、「株式会社に法人成りしてからというもの、名刺を出した時の反応が個人事業主だったときと違う」というのはよく聞く話です。


昔は株式会社を設立するには最低1千万円もの資本金を用意する必要がありました。これは誰にでも気軽に用意できる金額ではありませんから、株式会社を設立したなら、少なくとも1千万円に値する信用があるといえました。

1千万円は用意できないけれど会社を設立したいとき・設立しなければならないときは、有限会社を設立しました。有限会社を設立するには資本金300万円でよかったのでハードルが低かったのです。

今では法律が改正されて新規に有限会社を設立することはできません。株式会社を設立するための1千万円の要件もなくなり、設立するだけなら資本金1円でも可能です。

見る人から見れば、営業している有限会社はそれだけ長く存続しているので、法律改正後に設立された株式会社よりも断然信用が高いといえます。

それでも、未だに、有限会社は脆弱で株式会社は盤石であるというような根拠のないイメージを持っている人は少なくないでしょう。この場合の「イメージ」は、「信用」といいかえてもよいかもしれません。

ひるがえって、合同会社という看板には、株式会社ほどの「信用」があるでしょうか。

新規顧客を開拓するため初対面の相手に名刺を差し出した時、「合同会社って何ですか」という困惑した反応があるかもしれません。そう率直に聞いてくる相手だけでなく、心の中で思うだけの相手もいることでしょう。

株式会社には世間に浸透したイメージ=信用があるのに対し、合同会社は自分で信用を得ていかねばならないのです。

しかし、それはそれで話のとっかかりに活用できるかもしれませんから、どちらが有利とは一概に断言できないことでもあります。

合同会社株式会社を比べて、どちらが節約になるかと聞かれたら、それは明確に合同会社ですと答えることができます。ですが、どちらの営業がよりよい結果を出せるかと聞かれても、誰も答えることはできません。

それはすでに経営判断に踏み込んだ質問だからです。


経営判断のための手がかりとしては、その事業をするにあたって看板=見た目が有効だと考えられるのであれば、間違いなく株式会社が適しているといえるでしょう。

他方、レストランなどの飲食店や一般消費者向けの小売業などお店を構えてする事業の場合、合同会社でも問題ないといえるでしょう。客は、その店の経営が合同会社株式会社か個人事業主か、という点などいちいち気にしないでしょうし、実際に、店名(屋号)と会社名が同じでない店は多いです。

また、すでに一定数の固定客をつかんでいて新規開拓をする必要性がそれほど高くない個人事業主が、税金対策などの理由により法人成りする場合も、合同会社のほうが適しているといえるでしょう。

資本金を市場その他から調達したいなら株式会社ですが、よほど話題性がない限り設立当初では市場は相手にしませんし、設立時は合同会社にしておいて後で株式会社に変更することもできますから、会社が成長してからでも遅くはありません。